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-2- 【 ティーポ・プロジェクト Tipo Project 】

    伊語Tipoとは、典型、型とかの意(英語のTypeに相当)であり、       今後開発する新型車の基本形を指す言葉である。それは、開発の効率化を   図る為、共用可能なプラット・フォームを考案するプロジェクトであった。  クルマの基本構造を見直す為に、自動車とは別世界にある建築家にアイデアを 求め、レンツォ・ピアノRenzo Piano率いる作業グループ(Associates集団) へFIATから依頼された。                         (同氏は、関西国際空港の建築デザイナーとして日本では知られている)   過去、自動車の構造とは、フレームの上にボディーを載せる構成であったが  それは、製造コストと重量の点でメーカーとしてはマイナスであった。    その次の時代、’60〜’70年代にはモノコック構造が主流になった。     モノコックは、外皮と内臓が一体になった構造であり、もし外皮デザインを  変える場合(モデルチェンジ)はモノコック自体の設計変更せざるおえない。 つまり、車種毎にモノコックの設計、開発、大型プレスの型作成と言う様に、 車種一つ一つに数百億円の開発費が必要になる。開発費は膨張する。     その解決策として発明されたのが、主構造体と外板の組み合わせによる    自動車設計である。                           ・主構造体 … スチール製のケージであり応力負担を受け持つ。       ・外板 … 樹脂製、鋼版製とし、応力負担ないので自由にデザイン可能。   特に外板に関しては、当時FRP等が開発され軽量で安く、かつデザイン自由度 の高い製法が実現しつつあった。                     つまり、主構造体は共通として、FIAT、AlfaRomeo、Lanciaの車種への展開は 外板のデザインで実現するというアイデアである。 アイデアはラテン語でイデア(I-DE-A)である。              Tipoコンセプトに基づき、外板のデザインによる車種展開を請け負ったのが  イデア・デザイン(I-DE-A)であった。                  (I-DE-Aは、Institute for Development in Automobileの意味もある)   その主幹デザイナーが、エレコーレ・スパーダErcole Spadaであった。    AlfaRomeo車種で言えば、155がこのコンセプトに従い、Ercole Spada     がデザインした。                            一方、916は先にそのデザインがピニンファリーナにすでにあって、その後、 016開発開始の際、FIATの意向でプラットフォームをTipo構造に履き替えさせ られたのが経緯である。したがって、デザインはI-DE-Aではなく、      ピニンファリーナにて、設計と合わせて引き続き進められた。        (916デザイン改変に関するいきさつは、別記デザイン・ヒストリー参照下さい) この様にTipoベースと言われると、FIAT製の着せ替え人形と思われるが、916 においては、Tipo手構造体である骨組み(ケージ)だけの採用とし、そこに  肉付けされるエンジン、トランスミッション、サスペンション、装備に関して はAlfaRomeoとして、自由に設計、デザインされた。            916は、プラットフォームをTipoにしただけで、デザインと機構はAlfaRomeo  らしい独自性が架装される事となった。                 

■つづく、次章へ

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