【  Y 日記 】

1999-06-12 CVT学 講義U

    ・・・・・・・ 昨日の講義Tからのつづきで、、、 ●まさかレースには使わんでしょー? なんと、'90年初頭にF1マシンでテストした実績ある。 (ウィリアムズと、ファンドルネの共同開発) 高いパフォーマンスを得られたが、その頃からFISAはF1マシンのハイテク 禁止路線をとったので、このハイテク・ミッションはお蔵入りになってしもうた。 尚、これに装備されたプッシュ・ベルトは径を更にを大きくして対応したものである。 ●何故ポルシェが興味を持つの? ポルシェの指向してるミッションに合致してるので、CVTを検討してる。 ポルシェの御得意のtipシフトは典型的な、シーケンシャル・シフトである。 つまり、"跳ばし"のギャチェンジは不要なのである。 一方、CVTは連続可変で あるので、逆に段階的可変が苦手である。 例えば、3-rd.から1-st.へ スキップならば、マニュアル・ミッション、遊星ATならば、簡単であるが、 CVTでは、急いでもプーリー有効半径を拡げる動作が必要になるので、 跳ばすという動作にはならない。 これが、シーケンシャルならば、CVTでも 対応可能で、ショックが極めて少なくなる。 ●RVにはどう? クライスラーの、ボイジャー(3.3litter 25mKgトルク)で試験した実績ある。 だから、大型RVでも実用の目処はある。 ●他にもCVTあるってほんと? なーーんも、ベルトでないと出来ない訳ではない。 ベルト式の次候補に、”トロイダル方式”のCVTがある。 日産で、この方式のCVTを研究中であり、実用の手前らしい。 でも、ルノー社の意向で中止にならなければよいが。 ●CVT用のオイルって特別なの? 別に特別ではない。 通常のATフールドでOKである。 が、しかし メーカー指定のオイルを使うようにしましょう。 ●坂で停止すると逆走しちゃうの? 上り坂で、停止しててブレーキを開放すると、車はバックし始めます。 逆転防止機構はありません、電磁クラッチの場合では。 一方、流体クラッチの場合は、緩やかな勾配ならば、クリープのおかげで 下がる事はありません。 ●エンジンブレーキは効くの ? 効きます。 但し、その度合は、CVTに組み込まれたプログラムに依存します。 UnoのCVTはエンブレが弱いでしたが、Yのそれは比較では効いてます。 Lギヤーにすると更に制動がかかります。 Lにすろると、いずれも 遊星ATの、2-nd.ぐらいの効果は期待出来ると思います。 ●走行中に、急にエンジンが停まったら、CVTの動作はどうなるの ? 別に試そうとしたわけでないのに、そんな事態にお仕込まれた事があった。 Unoの時であったが、電気系トラブルでエンストしてしまった。 結論としては、急激なエンジンブレーキに移行してしまう。 2〜3度発生したが、 CVTの反応は同じだった。 動作過程を推測すると、、、 エンジンが停止→ ミッション内の油圧が低下→ プライマリープーリーの 押し付け圧に供給されるオイル圧低下→ プーリーの挟み力がなくなり開く→ ベルトが中心に向かって落ち込む→ Low状態である→ エンジンが停まっているので 制動がかかる。 尚、電磁クタッチの場合は、そこへ供給される電圧が低下するので、クラッチ開放 状態になり、エンブレはかからないであろう。 たぶん。 ●CVTの加速は悪いのは何故? 加速は悪いと思うのは誤解です。 もう一度、1999-03-31を最後まで読んで、 この講義に臨む事。 人間の加速感覚の問題です。 でも、 人間に適度な加速感を与える意図で、現在は様々にCVTプログラムを 日夜鋭意努力して工夫してます。 例えば、富士重工より、日産の方が、 この点に重きを置いてプログラムしてます。 今後、CVTの普及に伴い、 各メーカでプログラムによる、”味付け”が特色になるでしょう。 余談ですが、同じ様な誤解に”ロータリー・エンジンの低燃費”問題があります。 御存知の様に、排気量に関しては同じ排気量のレシプロより、燃料を喰いますが、 馬力に関しては同じ馬力のレシプロの燃料消費量と同等です。 ロータリーは 熱効率(ガソリンが熱に化けた場合、その内のどれだけが動力に寄与するか)は レシプロより高いです。 その現われとして、ロータリーは小型で冷却水が 少なくても高出力を得られるのです。 しかし、既存勢力(レシプロ陣営)に 石油ショックの際に叩かれてしまいました。 ロータリーにしろ、CVTにしろ、新興技術の受難の悲劇です。



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