【  Y 日記 】

1999-06-10 CVTのクラッチ

    いくら連続可変トランスミッションと言われても、発動機と駆動系の 間にはクラッチが必要である。 で、CVTのクラッチにもいろいろある。 1) 湿式単板クラッチ 2) 流体クラッチ 3) 電磁クラッチ 2) は、Unoで使われていた。 オイルを媒体として、一方のプロペラの回転を   対向する他方のプロペラに伝えるものであり、 トルコンと伝達原理は同じ   であるが構造はちがう。 この方式は、クリープ現象を伴うし、   また、ロスも生じる。 1) は、油圧制御でマニュアルと同じクラッチを断続するもので、一頃の   SuzukiカプチーノのCVTに使われていた。 多少、構造が複雑である。 3) は、スバルが元祖開発であり、日産、現在のFIATでも採用されている。   原理は、磁性体の粉に電位を駆けると磁化して粉がつながり、   固まった様になる(固体化)。 これで、動力を伝達する訳である。   ちなみに、スバルが"E-CVT"というのは、この電位Eを指している。 3)の長所は、クラッチが油圧でもなく機械式制御でもなく、電子制御 できる事である。 半クラッチ制御も可能である。 実績でどうであろうかと考えると、Unoの流体クラッチは、発進時に とてもスムーズであった。 というのも、最初から(停止時してる状態から) 動力が伝わっているので、信号が青になるとスムーズにそのまま走り出す。 欠点は、停止間際(10Km/H前後)に、つながってるクラッチがエンジン回転を 抑えこもうと作用するし、それに対してエンジンは回転を維持しようとする。 画して両者のバトルが始まり、その挙動が一種のバイブレーションを招くに陥る。 一方、電磁クラッチは停止時にはつながってないので、発進始めると どうしてもクラッチ接続のショックがある。 でも、今の年代のE-CVTでは、 かなりとてもわずかである。 下手なマニュアル車のクラッチ操作より ずっとずっと滑らかにつながる。 で、つながるとほぼ完全なホールドになるので、ロスはない。 さて、クラッチが電子制御ならば、そのプログラムはどうなのであろうか 興味がでてくる。 で、走行テストした。 まず、停止状態でアクセルを踏むとクラッチが必ずつながる。 これは、 1mmでもアクセルペダルが沈むとonになる。 足元にもぐりこみ調べてみると、 ペダル根元に、小さなマイクロSWがあって、わずかな角度変化でもonにしてる。 従って、とにかくアクセルに足が乗ってると必ずクラッチはつなぐプログラム なのが解る。 で、いつクラッチがoffになるか、走行試験した。 走行状態からアクセルペダルから足を離すとエンブレ制動がかかる。 減速が進み、約20〜15Km/Hまで速度が下がると、クラッチがスッと切れて、 惰性走行になる。 この15Km/H以下域では、いつでも足をアクセルに載せると クラッチは再びつながる。 では、アクセルの足を載せないでいて、速度が15Km/H以上に達したらどうなるか ? 下り坂でテストした。 アクセルに足をのせずに、0Km/Hから徐々に加速した。 15K/Hに達すると、クラッチは勝手につながった。  しかし、この瞬間にエンジンブレーキが作用するので、緩やかな坂ならば、 エンジンブレーキの方が優るので減速始める。そうすると、→15Km/Hまで減速する → クラッチが切れる →エンブレが開放 →坂なので加速再開 →15Km/Hに達する → クラッチがつながりエンブレ作用する →15Km/Hまで減速する → クラッチが切れる →エンブレが開放 →坂なので加速再開 →15Km/Hに達する → ・・・・ ∞ 繰り返す。 ちなみに、この試験を御丁寧にも後進時も試したが、 現象は同じ。 こうして、アプリケーション動作形態から、そのプログラムを 解析するリバース・エンジニアリングは遂行された。 こうして、解析作業は柏の畑と宅地の混在する近所で実施されたが、 テストしてるとCVTノイズ(ヒュウーー)と、エンブレ・ノイズ(ドオドドド)が 繰り返すことになる。 車外から見てると、奇妙なデザインの不審車が 「ヒューードロドロ、ヒューードロドロ、ヒューードロドロ・・・∞ 」と、 妖怪を招く音で坂を登っては降りてく奇怪な挙動の車になる。 近隣住民の目つきが 気きになってきたところで、私のリバース・エンジニアリングの情熱は覚めてしまった。 結論として、YのCVTクラッチはスムーズで違和感(ショック)が少ないと評価する。 PANDAに試乗した時に感じた、Lowと2-ndの切替えショックも少ない。 それでいて、アクセルに足をのせた瞬間につながるので、タイムロスがなく 動作レスポンスは良い。 これも、富士重工とFIATの日々改良の努力のでいであろう。



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