アンテナについてもいろいろ種類がある。 ここで、趣味であったアマチュア無線での知識を用いて、自動車アンテナに 関して考えてみよう。 快適なチューナー受信を楽しめるには、アンテナで的確に電波を捉えなければ ならない。 で、アンテナのパフォーマンス(利得)を決めるポイントは、 1) アンテナの長さが波長に合っていること。 2) アンテナの位置が高いこと。 FMを聞く場合は、その周波数が70MHz〜90MHzなので、波長は 3*(10の8乗)/周波数 で、おおよそ4m〜3mになる。 しかし、3mにもなるアンテナを車で直立できる わけがない。 そこで、波長の数分の1で割った長さにする。 これでも、 同調は取れる。 例えば、J-waveならば、(30*100000000)/81.3MHz=3.7m となる。 これの、1/4 としても、92cm になる。 でも、その前に考える事がある。 波長に合せていたら放送局(周波数)を切替えるたびに、アンテナの長さを 換えなければならない。 かくして、波長に合せるのは無理となるので、 「長けりゃいい」という妥協で自動車アンテナが決まる。 2) はだれでも解る常識。 高い所(地上高)ほど電波を捉える。 極端な場合では、山頂と山頂ならば遠距離通信ができる。 PHSと同じ出力の無線機で 富士山と奥多摩御岳山でクリアーな交信した経験がある。 で、車の場合は、 アンテナはトランクより高い位置のルーフの方が利得ある。 クルマのアンテナで、もうひとつ重要な事がデザインへの配慮である。 聞く所によると、デザイナーにとってはアンテナのデザイン解決が難儀であり、 アンテナを見るとへし折りたくなるらしい。 たしかに、デザインのラフ・スケッチ 段階ではアンテナは描かれてない。 それは、アンテナ一本でデザインがくずれて しまうからである。 一番無難な解決方は対称法解決である。 つまり、何か 取付ける際は、左右対称にしてしまえば難を逃れられる。 ジウジアーロなんぞ、 対称性こそデザインの極致とばかりに、'90年頃のコンセプト・カーには、 助手席にまでステアリングを付けてシンメトリックを実現していた。 さすが、遠近法を発明したルネッサンス芸術の末裔である。 でも、アンテナが一本の場合は二本で左右対称にできないので、左右の中心に 取付けるのがよしとなる。 Yは、ルーフの前方の左右の中心に設置されている。 欧州車はこれが多い。 以上の事から、その位置は合理的な解決と言える。