【  Y 日記 】

1999-05-22 コーナリング

    お待たせしました。 コーナリングの事、ぜんぜん御話してませんでした。 では、そろそろ。 テストは、いつもの手賀沼の秘密の農道にて実施。 Uno、DEDRA、他人の車、代車等 歴代の車をテストしている。 勾配はほとんど無いが、往来がなく、低速、中速の コーナーが5Km程連続する格好の舗装路である。 但し、移動中の耕運機に注意。 Yのコーナリングは結論から言うと結構よい。 すべては、この車の組成である"ワイド・トレッド&ショート・ホィールベース"に 起因するコーナリング特性になる。 ●まず、ローリングがイタ車としては少ない。 FIAT系にしては硬めのサスと、  ワイド・トレッドである為であろう。 従って、コーナー中でも外側タイヤへの  荷重シフトがあまり生じない。 ●ヨーイングも少ない。 これも、ショート・ホィールベースのせいであろう。  また、サブフレームをもつしっかりした足回りも効いている。  従って、ジグザグ走行しても、Alfaダンズの様に前後の足がちぐはぐになることは  ない。 ここら辺は、さすがLanciaであると思う。 ●ダイブは、ショート・ホィールベースにしては発生するが、これはフロント・  エンジンである事に起因してるのであろう。  ちなみに、"ワイド・トレッド&ショート・ホィールベース"に関して、独自に面白い 分析を試みた。 下表の車名の次の第2項は、トレッド値であり、第3項は ホィールベースである。 そして、第2項を第3項で割った値が=右値である。 つまり、値が大きい程4つタイヤで形成される長方形が正方形に近い四角になる。 PUNTO 1369 ÷ 2450 = 0.559 Alfa75 1390 2510 = 0.554 Tipo 1430 2545 = 0.562 Uno75s 1340 2360 = 0.568 Ritmo130TC 1440 2445 = 0.589 Y 1405 2380 = 0.590 DELTA HF 1516 2479 = 0.611 X1/9 1345 2200 = 0.611 STRATOS 1433 2180 = 0.657 一目遼全に、車の組成が解る。 ラリーで活躍した車は、0.6 以上になる。 ストラトスなんぞ、極端である。 しかも、X1/9、STRATOSはその四角形の中に エンジンが置かれている。 Yがこれらラリー覇者に近い値であるのが 理解出来る。 以前からの持論であるが、数値(カタログ・スペック値)でクルマを評価しない ように説いているが、その数値もこのように操作してデータを得れば、 別の観点で観ることができる。  「縦:横」の様に、ベクトルの90度違う物理量を 相関とると面白い。 例えば、「ボア:ストローク」や、御存知の「馬力:車重」、 「偏平率」等がある。 さて、Yのコーナリング・フィールは、、、 コーナーにさしかかり、ステアリングを切り始めると、多めのハンドル遊びのあと 割と素直に回頭始める。 回頭と言っても、フロントだけ首を振るのではなくて、 四輪が一体となってコーナー先を向く感じである。そして、少ないローリングが来て、 横Gがかかる。 コーナーリング中は、ニュートラルであると思う。 ほとんど 修正は要らない。 ステリングは軽すぎる傾向あるので、コーナリング中は あまりステアリングを充てない方がよさそう。 つまり、ステアリング・フィールは インダイレクトであり、今までのクルマと違う。 ピレリP2000は早めに泣き出すが、 これはこのタイヤの特性でグリップが、横Gにリニアな喰いつきを示す性質のせいで あるので、泣き始めが早く感じるが不安はない。 こうして、出口が見えて来たら、 アクセルをフッと踏めばよい。 正方形に近い車のルノー・クリオ "ウィリアムズ"の様な、 kart感覚が味わえるYである。 強いて言うならば、60Km/H以下ならば、DEDRAよりコーナリングが上だろう。 このYに、185以上のタイヤとスーパー・ファイヤを組み合せれば、結構に 峠を走るクルマになるであろう。(Elefantinoバージョンがこのコンセプト) 同じベースを充てられているが、 ・ PUNTOが、都市の城壁内の狭い路地裏をすり抜ける細長コミューターならば、 ・ Yは、都市と都市の間の峠をすばやく越えるプチ・公道ラリーカーという 違いになるであろう。 そして、Lanciaの面目は次世代に引き継いでいる。



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