【  Y 日記 】

1999-04-18 Alcantara アルカンタラについて

    以前話した様に、シート、トリム、ダッシュボードは、Alcantara素材である。 で、 家人に、『ジーンズ禁止令』を制定した。 既に、小生のスラックスはデニム地からコットン系にファッション・シフト しつつある状況である。 が、 家族の苦情多く、 そして、フィットしたジーンズの女性に路上で脱げとは言えないし。 そう言えば、最近イタリアで女性のジーパンは簡単に”脱がせられない”か どうかで、国中でおおもめの裁判があったばかり。 で、 対策を検討した結果、、、 フロント・シートの座にだけ、シート・カバーを被せる事にした。 実は、Alcantara地は滑りにくいので、座は多少が滑った方が運転しやすい。 だから、シートを被せるメリットはある。 それに、 シート背面はそのままなので、外から見た目のAlcantara感は維持されてる。 そのアルカンタラについて、ちょっと勉強しましょう。 1977年創業開始されたミラノの企業であり、日本の東レ株式会社の海外事業として 共同設立された。 日本からは、小林元氏が取締役として参加し、12年間滞在した。 社長他、役員は現地ミラノーゼである。 氏はイタリア日本人商工会議所 副会頭でもあり、イタリア人について 論じた著作があるので、読んで見ると良い。御薦めします。 同社は、スエード調人工皮革を素材とした製品を扱っていて、現在では 「イタリア第一の中堅企業」との評価を得ている。 創業当時の、70年代後半から80年代前半は、西ドイツへコート、ブレザー等衣料の 素材として輸出していた。 素材は高価であるが、商品の機能性は高いので ドイツ人の嗜好に合うだろうとの、戦略であった。 しわになりにくい、洗濯が出来る、虫がつかない等の長所が理解されて、 ドイツ内の外来品の中では、コカコーラにつぐ地名度であったが、やがて需要が飽和 したので、80年代後半より、自動車、家具に向けて開発した。 Alcantaraの特徴は、その色と風合い、清涼感(天然物は暑苦しい)にあり、 天然スエードでは染色に色の限界がある。 ドイツ以降の時期は、イタリア、フランス、スペインへ広がり、 その頃からクルマに求められるものが、全ヨーロッパで変わって来た。 車をステータスシンボルとしたい場合、自動車メカでの違いはない、ので、 インテリアにて他人と差別化する。 そこで、趣味の良い色で肌さわりのよい 素材として、注目されるようになった。 90年代になると、機能一遍傾であったドイツとか、北欧、英国の一流メーカでも 採用始めた。 これは、ディーラーからの要請が強い。 つまり、カタログにない と市場で競争にならないという事である。 このAlcantaraに限らず、世界中でイタリア指向になってるが、 この感性に重きをおくイタリアンティスト採用の傾向を、 ”消費市場のイタリア化現象”と、氏は言う。 尚、この人工素材は、髪の毛の100分の1の微細な繊維を、 天然スエードと同じ構造状態に絡める方法によって生成した素材である。 天然スエードより高価になるが、それに代り採用されていることで、 その素晴らしさが理解出来よう。 以前のY日記で、「クルマは触ってみなければ評価できない」と述べたのは、 一つにこの素材を指している。



return to "Y"の目次